北海道のサイクリングガイド、SAN(サッポロ・アクティブ・ナビゲーション)の上田浩朗さんに想いを聞く

北海道のサイクリングガイド、SAN(サッポロ・アクティブ・ナビゲーション)の上田浩朗さんに想いを聞く

北海道は震災の影響で、お客さんからの予約がピタッと止まってしまったというアウトドアカンパニーも多い。そんな中、Facebookなどで「なんともないよ」と情報発信しているサイクリングガイドの上田さんに話しを聞いた。

SAN(サッポロ・アクティブ・ナビゲーション) 上田浩朗さん

 

—どのようなコースですか?

札幌市や新千歳空港から約1時間圏内の道央圏では、基本5コースを用意しています。東千歳・早来方面です。この他には、小樽・余市方面、ニセコ方面、洞爺湖方面などに基本コースを設定しています。合計8本あります。

 

—スタートはどのコースから?

一番最初から実施しているのは長沼コースです。「長沼田園20キロ」というのが始まりです。わたしがこの事業・サイクリングガイド業をスタートする前から個人的に自転車で走っていたコースなのです。札幌市から長沼町を目指して、「ハイジ牧場」の丘のあたりを走って戻ってくるとだいたい往復80km。まずまずチャレンジングな距離とコースだったのです。この往復を通じてあちこちの道を走った経験から基本コースをつくって整備してきました。

 

—長沼コース・マオイの丘コースの魅力は?

長沼はやっぱり田園風景です。石狩平野の真っ平らの中を走るのが気持ちいいです。丘陵地帯を走ると小高い丘の上から石狩平野が一望できます。とてもいい景色です。このあたりには、すてきな飲食店やアート系のお店も多いのです。休憩場所として、たくさん休めるところも魅力のひとつです。

 

—ロードバイクに乗ったことがなくても大丈夫?

初心者でも大丈夫です。初めての人も安心してください。ツアーの最初にじっくりと時間をかけてフィッティングから操作の仕方、乗り方・降り方などレクチャーします。自転車に乗れる人はOKです。たいがいの人は、だんだんと慣れてきます。使用する自転車は初心者用の中でも上位クラスのものを採用しています。なので、取り扱いはラクだと思いますよ。コースも初心者でも安心して走ることができる距離数に設定してあります。

 

—参加者はどんな人?

圧倒的に多いのは初めてロードバイクに乗るという初心者です。女性が多いです。ツアー全体も女性に配慮した内容にしています。ツアーが終わった後、ランチも、女性に人気がある野菜がおいしいスープカレー屋さんに案内したり、行列ができるソフトクリーム屋さん。ジェラートがおいしかったり、アート工芸品がある作家ものが置いてある雑貨屋さんなどへお連れしたりします。

できるだけ、地元の人々とふれあえる時間をつくっています。農村風景を見てサイクリングしてきたのだから、ここで収穫できる野菜を味わうことができるレストランへ案内してあげたい。目で見て楽しみ、味わっても楽しむ。こういったことを含めて、SANのツアーだと思っています。

 

 

—「パレットの丘」コースとは?

東千歳の「パレットの丘」コースは隠れた名所。地元の人がパッチワークのように見える畑風景を、絵の具のパレットのようだとネーミングした場所です。このあたりを、わたしは “リトル美瑛”と勝手に呼んでいるのですが、美瑛にも勝るとも劣らない美しい丘風景が広がっているのです。この景色に感動しました。道央圏にすばらしい風景があり、しかも、あまり知られていない。地元のサイクリストもあまり走っていない場所です。

 

—パレットの丘の魅力は?

パレットの丘はあきないですね。東千歳方面の畑って、一つひとつの畑がとてつもなく大きく広いのです。春は黄色の菜の花畑。夏には小麦畑にトウモロコシ畑。秋にはマワリ畑になります。季節によって景色が全然ちがってくるんです。そんな畑の中を通る農道の中でも、選りすぐった道を走ります。だから、わたしのツアーでは他のサイクリストとはほとんど会わないです。北海道を感じるすてきな風景を独り占めしている感覚です。

 

—コースは固定ですか?

基本コースは「パレットの丘30キロ」などど提示していますが、送迎途中のクルマの中でお客さんと話しをして決めます。体力やレベル、趣味嗜好などから、コースは臨機応変にアレンジします。ツアー中でも、ショートカットして多少短くしたり、ちょっと足を伸ばして見どころを案内したりしています。一応、30キロとか60キロとか区切っていますが、参加者に応じてコースはアレンジ可能です。

 

—映画のワンシーンのような景色も?

サントリー「金麦」のCM撮影のロケ地となった踏切は大好きです。わたしも初め、ロケ地とは知りませんでした。初めて見つけた時は、まさに映画のワンシーンのような気がしました。シンプルな踏切があって、その先に空につづくような1本のじゃり道がすーっと伸びている。道の両側にはトウモロコシ畑になっていて・・・。もう、ここは歩いてでもコースの中に取り入れたい!そう思いましたね。

 

 

—ロングコースの特徴は?

長沼早来80キロコースは、長沼をスタートして東千歳の「パレットの丘」を越え、早来の牧場地帯を走って、安平の方から戻ってくるコース設定です。ここも農道ばかりつないだコースにしてあります。サイクリングのコースって基本、左回りなんですよ。右折はしないような回り方にしてあります。しかし、この場所はあの方向から走った方がいいということがあれば、そのかぎりではありません。景色や見どころの見せ方も含めて工夫してあります。

 

—ツアーコンセプトは?

うちのコンセプトは「地元の人も知らない道へ案内するツアー」。リピーターの人も多いのです。お客さんとわたしだけ。この風景を独り占めできるのです。このあたり、周囲100〜150kmの範囲は、わたしは地元の農家さんたちより道を知っているかと思います。それほど、細かな道まで分け入って走りました(笑)。この中で一番すてきな道を選んでコースにしています。

 

—こだわりはどんなことですか?

このあたりは農道が至るところにあります。わたしは自転車で全道あちこちをツアーで走りました。ツアーの場合は国道や道々といった幹線道路は極力さけてコースを設定します。でも、やっぱりどこかしらこうした道を走らざる得ないことが多いです。けれど、このあたりは農道だけで全コースを設定できるんです。農道はクルマの往来が少なく、安全。クルマを気にすることなく風景を楽しむことができる道になっています。

 

—うれしい参加者の声も?

先日、親子2人で参加した人がいました。子どもが大学生。「もう最後の男同志の旅かな」とおっしゃっていました。CMロケ地にも使われたすてきな道で、じゃり道を歩きながら、親子で語り合っていました。後ろからシルエット姿の写真を撮ってプレゼントしました。そしたら「この写真が旅の一番の思い出になりました。リビングに飾っています」と。うれしい声でした。

 

—みどころ満載ですね

全体を通じて、コースが単調にならないように配慮しています。田園地帯がきれいだからといって、ずーっとそればっかりだったら飽きてしまうじゃないですか。「芝生の林」とか「飛行機の林」とか勝手にネーミングした見どころスポットを織り交ぜてあきないような工夫をしています。

 

—馬も見られる?

コースの最後はサラブレッド牧場です。牧場の中に入っていい道をセレクト。自転車で走りながら、白い柵越しに美しいサラブレッドの姿が見えるのです。北海道らしさを感じられるワンシーンになると思っています。

 

—風になれる?

自転車に乗れると「風になれる」時があるんです。ほんとです。風と同じ方向に走っていると風と一体になるのです。すると無風状態になります。いま、風になっているからと。これは、風になった人だけしかわからないんですね(笑)。ウチのコースだとよくわかります。ぜひ、体感してみてください。

 

 

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