3度の絶望から今を生き抜く、岸田ひろ実さんの講演から大切なことを教わる
「障がいを価値に変え、社会・世界を革新する」と題してユニバーサルデザインセミナーが開催された。NPO法人北のユニバーサルデザイン協議会が主催。会場は札幌エルプラザ大ホール。感動的な講演を聞いてきた。
講師は岸田ひろ実さん。
致知出版社の「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」という著者。
人生で3度の絶望を乗り越えてきた人。
1968年、大阪市生まれ。短大を卒業した後、OL生活を経て結婚。神戸市で暮らす普通の主婦だった。最初の試練はダウン症を持って生まれた長男の育児。
不安や悩みを抱えながら子育てしたそう。
2度目の試練は、2001年。建築・設計事務所を経営していた夫が心筋梗塞で突然亡くなった。夫は39歳だった。
2人の子育てをするため、整体師の資格を取り、整骨院で働きはじめた。
だが、むりがたたったのか2008年1月、大動脈の内壁が割ける急性大動脈剥離で倒れた。命は取り留めたものの、下半身にまひが残り車椅子生活となった。
2年間に及ぶリハビリ中、絶望を感じて死を決意。娘につたえた。
当時、高校生の娘は「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」と。
「これ以上はがんばれとは言えない。ただ私がつらい時、ママの笑顔で元気になれる。もう少しわたしのために生きて。2億パーセント応援するから」と言われ、生きる勇気をもらったという。
岸田さんは言う。
「あすという日が、だれにでも来るとは限りません」
「伝えたい『ありがとう』は、すぐ言わないと一生、後悔します」と。
ご主人にありがとうと伝えられなかった。
今は車椅子に乗って、高さ110センチからの視線から見える世界を変えようと全国を講演で飛び回る。
障がい者や高齢者のためだけではない、ユニバーサル(普遍的)な世の中を訴える。
車椅子の人を見たら、こういってほしいという。
「なにか、手伝えることはありませんか?」と。
大切なことをおそわった。