『習慣が10割』吉井雅之著を読む
『習慣が10割』(すばる舎)、吉井雅之著。
習慣形成のプロが教える、意思・やる気に頼らない「続けられる」最強スキル。
仕事・お金・人間関係。
人生がうまくいく、最も強力でシンプルな方法。
それが、習慣だ。
著者のナニメンさんこと、吉井雅之(よしい・まさし)さん。
ナニメンとは、浪速のメンター。吉井さんは1958年、神戸市生まれ。2005年、(有)シンプルタスク社を設立し、全国で人材育成トレーニングや講演、セミナーを開催している。
15年でのべ5万人を指導してきた。
その吉井さんが言う。
「習慣は、人生を通して役立つ最強のスキルである」と。
続かない。
挫折する。
やめられない。
よくある悩みは、あなたの意思が弱いからでも、やる気がないからでもないという。
それは、「習慣の作り方を知らないから」だそう。
「習慣」とは、自分でこれをやると決めたことを、コツコツと続けること。
どんな習慣を身につけるかで、あなたの人生が決まる。
習慣がすべてを決めている。
習慣が10割。
この本で吉井さんが伝えたいことだ。
(「はじめに」より)
「出版記念講演会in札幌」でお話する吉井さん。
人生を変えるのは一発逆転のできごとではなく、日常のささいな習慣の積み重ねだという。
これは、「自分で決めた約束を守ることができた」ということが重要。
習慣化のコツを吉井さんは、「とにかくハードルを下げること」がポイントだと指摘する。
筋トレなら、「1回でもOK」。
勉強なら、「1問でもよし」。
ランニングなら、「シューズをはいて外で出るだけでもいい」
とすること。
さらに、コツは「1個前の習慣を決める」ことにある。
朝6時に起きる、の場合は「何時に寝るかを決める」。
朝のランニングならば、「枕元にウェアを用意してから寝る」。
通勤電車で英語を勉強するなら、「カバンの中にテキストを入れる」。
わたしがおもしろい、と感じた部分。
例えば「勉強」ということばは、「勉強=つらい」という記憶が脳に残っていて「勉強=不快」と判断してしまう人がいたとする。
この場合は、つかうことばを「勉強」から「向上」に変えるといいという。
勉強がきらいでも、向上することがイヤという人は少ない。
だから、「今から勉強する」のではなく、「今から向上する」と口に出してやる気を出すのだ。
同様に、「ケーキ」を「脂肪の塊」に言い換えてみる。
「今から私はケーキを食べる」のではなく、「今から私は脂肪の塊を食べる」と言い換えれば、甘いものを控えることが可能になるという方法だ。
もうひとつ。
一日の振り返りに、次の3つを書き出すというやり方。
1)今日の良かった点
2)今日の改善すべき点
3)翌日の対策と決意
夜、クリアリングをして終えるという習慣だ。
仕事でも、スポーツでも、勉強でも、反省ではなく分析をして、改善点をたくさん書くことが大切だと指摘する。
著者の吉井さんは、本の最後をこうしめている。
「すべては自分がどう思考し、行動するかにかかっている」。
「運がいい」と思われている人たちは、実は習慣によって運がいい自分を作り上げているとも言う。
「人に能力の差はなし。あるのは、習慣の差だけである」と。
「よい習慣を身につけて、理想の自分になろう」と、呼びかける。
本は読みやすい。全部で71のトピックから構成されている。
すでに知っていることが、書かれているかもしれない。
けれど、できていない自分を含めて、もう一度チャレンジする気持ちを抱かせてくれる一冊だ。
おすすめ。