2019年の元日の新聞が伝える変化〜AI・シンギュラリティ・5G・自動運転

2019年がスタートした。日経新聞の1月1日付けから気になる話題をピックアップしておきたい。

元旦の1面トップ記事は「新幸福論」という特集記事だ。

2050年に向けて技術は大きく進歩する、ということで右肩上がりに急カーブを描くグラフが目を引く。

1989(平成元)年にインターネットの商用化が始まり、2020年代には高度な自動車運転や空飛ぶタクシーが実用化。2030年ごろにはチップを体に埋め込みキャッシュレスで決済ができるようになり、2050年ごろには、AI(人工知能)が人間の知性を越えるという。

「人類の長い歴史はテクノロジー抜きには語れない。とりわけこの30年の変化は劇的だ」という。

しかも、その変化は「これからの30年でさらに加速する」。記事では「これまでの30年、テクノロジーは人類に利便性や豊かさをもたらした。これに対し、これからの30年は人間のあり方や社会システムの根本的な問い直しを迫る」としている。

2050年までの30年間で「人類は転換期を迎える」と京大総長は指摘し、「いま必要なのは自分自身は何者なのかを考えることだ」と発言するのは阪大の石黒教授。

AIが人知を越える転換点を「シンギュラリティ」と呼ぶそうだが、その日は近い。

 

次に注目する変化。

次世代通信規格「5G」の先行サービスが2019年から段階的にスタートする。

5Gは現行の4Gの100倍の実行速度に加えて、通信の遅れがほとんど発生しないという特長を持つ。この5Gによりこれまでのスマホ時代のサービスとは異なる進化を遂げそうだ、という話題。

・ヒト型ロボットを人間が遠隔操作する

・映像と同時に選手や試合のデータをあわせて中継するスポーツ向けサービス

・建機の遠隔操作

・遠隔医療

など、これまでの流れとは一線を画す新たなサービスが誕生しそうだ。

 

「スマホ大競争号砲」とのタイトルから、専門家による解説が気になる。

いわく「期待の大きい5Gだが、ビジネスとして利益を生むまでには時間がかかる。個人も企業もサービスの対象になるものの、どのような収益モデルを描くのか、世界の携帯会社が模索している状態だ」という。

「海外の通信関連企業の多くが、まず動画。次に『つながるクルマ』で使われると見ている。ただ動画の場合、今でもネットで見られる。5G時代にふさわしい動画がどんなものか、まだはっきりとは見えていない」。

 

クルマが変わる。自動車メーカー各社は次世代技術で他社連携を進める。

トヨタ社長は自社を「車をつくる会社から移動サービスを提供する会社に変わる」と自らのミッションを進化させている。いわく自動車産業は「100年に1度の変革期」にあると見ている。

完全自動運転車は、商品を家まで届けてくれる移動型の無人コンビ二。患者を診察しながら病院に送るなど、新しいサービスの創出を目指している。

自動車メーカーが産業の「主役」でありつづける時代は終わり、業種の垣根を越えた連携で付加価値を高めなければ生き残れない時代に移りつつある。IT企業か自動車メーカーか、自動運転を巡る開発競争は加熱している。

 

最後にふれておきたい話題。今年、10月に消費税率が10%に上がるという予定。

平成時代は国の借金が増えつづけた時代となった。赤字国債の発行は年30兆円レベルに達し、先進国の中でも日本の債務対GDP比は突出しているそうだ。

膨らむ医療費と介護費。これを、「いわば小さな子どもや将来生まれる世代名義のクレジットカードをつかって払っているような状態」。

増税はやむなし。景気を下げないよう、新たな変化を消費・サービスの機会にして、少子高齢化の縮むニッポンにしていくことが求められるのだろう。