自ら課題を見つけ解決する力をつける〜経団連会長中西宏明さんの主張 


経団連会長の中西宏明さんが「仕事につながる学び」というテーマで語っている。まさに、そのとおりと思った内容。

以下、概要を記したい。

・学生が自分で自分のキャリアを作る思考を育てる必要がある。自ら問題を見つけ、解決する力を伸ばす体系に教育を改める。社会全体の責任だが大学の意識が最も乏しい。

・企業が求める人材像を教えて欲しいと言う大学がある。しかしそれはちょっと違う。改革への意識が薄いのではないか。学生が卒業する時「こういう仕事をしたいからこの勉強したんだ」と言えるような教育にして欲しい。

・高度経済成長期は企業側の人材育成の役割が大きかった。元気でやる気がある新人を取り、入社後に企業が徒弟制度で仕事を教える訓練する。大学にはあまり期待しなかった。一括採用と終身雇用と言う雇用形態は、増産や事業拡大と言う高度成長を担った製造業では極めて有効だった。

・デジタル化とグローバル化で時代は変わった。いいものさえ作れば売れると言う時代ではなくなり、企業はさまざまなことを考えなければいけない。あらゆるものをサービスと絡め、市場志向でなければいけない。

・自分で考え問題を発見し、変革を先導できる人を育てなければればいけない。企業の自社内の教育システムでは成立しない。今必要なのは従来の業務を変えて行った先の仕事の勉強だ。企業が社内ノウハウを伝承する形では片付かず公的教育機関の重要度が上がっている。多方面でのリテラシー(素養)を高めないといけない。

・まず高校で文系理系と分けるのをやめたらどうか。文系を選ぶと高校2年生位から数学を勉強しなくなる。これではダメだ。多彩な人材が活躍する社会では教養等のリベラルアーツやITの知識は不可欠だ。

・初等教育も重要だ。自分の思っていることを語り、教師などからのフィードバックを受け取るコミニュケーションが小さい頃から必要だ。「隣の席のお友達がこうしているから、私も」と言うふいんきはできるだけ抑えたい。個性を伸ばす教育に変えていかないと、いきなり大学で「君はどうなりたいか」と言われたって学生は戸惑う。

・むろん企業にも課題はある。人柄を重視し、体育会系がいいとジェネラリストを求めるのは、昔の企業のイメージのままだ。経団連の会員企業にも明確に問題意識を持つ企業とそうでもない企業がある。企業が変わり、社会が変わることが大事だ。

・企業経営者が切迫感を持ち、きちんと社会に伝えないといけない。教育は準備に過ぎない。社会全体が人材を鼓舞し、失敗を恐れない雰囲気を作り出したい。