新しい時代「令和」がスタートする〜観光インフラを整備し稼ぐ観光へ

令和を伝える新聞社の速報
速報を報じ号外を配布する道新本社

「令和」がスタートした。テレビ局は全局が式典を生中継し、おことばが伝えられた。なにごともなく無事にセレモニーが終了してよかった。人々は10連休という、これまで経験したことのない長期休暇を楽しむ。ゆく年くる年ならぬ、新年のようなおめでたい雰囲気に日本中が包まれたような新時代のスタート。

日経新聞に、重要な指摘が書かれていたので、メモしておきたい。

「エコノミスト360°視点」 デービット・アトキンソンさんのオピニオン。

・2018年は甚大な自然災害があったにもかかわらず、訪日外国人数は前年比8.7 %増の3,119万人となった。政府は2020年に4,000万人を誘致する目標を設定している。2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京五倫パラリンピックがあるからかなり現実的だろう。

・それより重要なのは、2017年の日本の観光収入が世界10位になったことだった。念願のトップテン入り。たった5年間でのトップテン入りは今まで世界的に例のないことだ。日本の観光立国の潜在能力の高さとこれまでの国などの実行能力、観光地の努力と評価しても良い。

・だが課題は当然ある。旅行消費額が目標の8兆円を達成していない。最大の課題はインフラ整備の遅れだ。国が観光客を誘致する役割を着実に実行しているのに、民間が稼ぐ仕組みを作っていないことだ。

・多くの地域が、観光政策と言えば交流サイト(SNS)やパンフレット、のぼりなどを使ったキャンペーンと考えている。確かに昭和の観光は旅行会社と交通機関が多くの客を地方に送っていた。数をさばくモデルだった。

・何も整備していないのにただただ聞いてもらいたい。魅力だけを発信すると言うのは時代遅れの戦略だ。観光戦略が求められる理由は地方創生にほかならない。地域の負担を上回る収入がないのは「観光公害」の定義そのものだ。持続性のある観光と言うはやりの言葉も、稼いでいれば観光業の持続性が持続性が高まることを意味するだけだ。多くの観光地が疲弊してしまった原因は稼ぐ仕組みが不十分だったからだ。

・全国の観光地経営組織(DMO)と都道府県の予算は1000億円を超えている。しかし約7割は誰も読まないホームページ。ローマ字で書かれているがネイティブがチェックしていない謎の文章。瞬間的に消えてしまうSNS。誰にも届かない動画。自己満足的な海外トップセールスなどに使われていることが何より悲しい。整備されていない観光地をどんなにアピールしてもきた人は満足できず、口コミは良くならない。

・1000億円の大半を観光資源の整備や開発に使えば、あっという間に世界一の観光立国の準備が整えられる。その上で、初めて情報発信戦略を考えるべきだ。人口減少や高齢化を考えれば、稼ぐ観光戦略が必須だ。

「稼ぐ観光インフラの整備を」。満足していただける商材の開発が、先。情報発信は、後。ホームページ・SNS・動画などに携わっている者として、きびしい筆者の発言内容。しかし、ごもっともだ。

令和の社会も、人口減少はつづく。高齢化も止まらない。地方の衰退は一層そのスピードが早まる。一方で、増加する機会は訪日外国人客だ。この新しい顧客を満足させることで、売上を回復させたい。数ではなく、質で。これまで、1,000円で10人にサービスしていたものを、1万円に上げて1人にサービスする。これで、売上としてはイコールになる。

あらゆることを「体験化」できないか。体験プログラムとして、均質な2時間、3時間の商品に仕立てられないか。旅行者はお金を使いたがっている。感動したいのだ。地域側の知恵と行動が求められている。

ともに闘いたい。