大前研一氏の「『0から1』の発想術」に学ぶ
大前研一著、「『0から1』の発想術」小学館を読む。
以下、要点をメモ。共に考えたい。
セルゲイ・ブリンラリー・ペイジは「グーグル」を。スティーブ・ジョブスは「アップル」を。ビル・ゲイツは「マイクロソフト」を。ジョフ・ペゾスは「アマゾン」を。彼らは「個人」からスタートし、イノベーション力で世界を変えた。われわれビジネスマンは、今や、一人ひとりが「個人」として戦わなければいけないのである。組織ではなく、個人で勝負する時代なのだ。
これまでの経済は、国>地域>個人 という図式だった。ところが今はベクトルの向きが逆になり、国<地域<個人 へと変化しつづけているのが「今」なのだ。この動きをインターネットがさらに加速しているとも言える。ビジネスマンが生き抜くために必要な最大のスキルは「0から1を創造する力」、すなわち「無から有を生み出すイノベーション力」だと思う。
戦略プランニングで肝要なのは、正しい問いと目標の設定である。
・ユーザーが求めているものは、何か?
・われわれは、それを十分に提供しているか?
・ユーザーが満足していない部分の原因は何か?
・不満足を解決するためには、どういう方法があるか?
情報技術の発達がもたらしたものは、情報を持っている人と持っていない人の格差である。実は、これが今非常に大きくなっている。アービトラージとは市場の価格差=格差で利益を得る。だから、情報格差を利用すればビジネスチャンスがたくさんある、ということになる。自分はこの会社・この業界を知っているという固定観念から脱して外に足場を設け、新鮮な目で見つめ直すことでしか、新しいアイデアは生まれない。わたしたちは常に固定観念にとらわれている。しかし、そこに留まっていては新しい発想は生まれない。
ニュー・コンビネーション。新しいものは、古いものの組合せだ。例をあげよう。
・バス+船=水陸両用バス
・個人の知識+個人の知識+個人の知識=ウィキペディア
・携帯電話+クレジット=おサイフケータイ
・携帯電話+ネットオークション=モバオク
日本マクドナルドの創業者・藤田田氏は「感情移入」がみごとであった。藤田氏は、アメリカでハンバーガーが流行しているところを目撃していた。だからといって、単純に「日本に持ってきたら売れるはず」という安易な発想で日本マクドナルドを始めたわけではない。藤田氏は、日本人の体格や体力がアメリカ人に負けているのは、食べ物のせいだと考えていた。それを解決する手段として考えたのが「ハンバーガー」なのである。だから藤田氏は、ことあるごとに「日本人はもっとハンバーガーを食べなきゃダメだ。そして欧米人に負けない体力をつけるんだ」と言っていた。ハンバーガーに心底、ほれ込んでいたのだ。
ナイキのフィル・ナイト氏のことば。よく「レストランを開きたい」という人がいる。しかし、レストランの厨房で1日23時間働く覚悟がなければ、また、稼ぎがまったくなくても「この仕事が本当に好きだから」と言えるようでなければ、やめたほうがいい。「好きだ」と思ってつづけていれば、何度でもチャレンジできる。壁にぶつかった時に「なんとかしよう」と頭をひねるから、アイデアが生まれる。いやいやながら仕事をしている人は、イノベーションなど起こせない。ただ単に給料をもらって目の前に仕事をこなしている「処理型ビジネスマン」は発想からはほど遠い。まず自らの抱える課題にどっぷりとつかって「感情移入」することが重要だ。
20世紀のビジネスの3要素は「ヒト・モノ・カネ」と言われたが、それが今や「クラウドソーシング」「クラウドコンピューティング」「クラウドファンディング」という3つのクラウドで代替できるようになった。その結果、小人数でも、設備や資金がなくても、新たなビジネスが展開できる時代になった。これまで日本は「カイゼン」が得意技であった。しかし、これからは「0から1」を生み出さないと生き残っていくことはできない時代である。