北海道百年記念塔の存続を求める会の視察報告会に参加する

知り合いの建築家・山之内裕一さんに誘われて、「北海道百年記念塔の未来を考える会」の会合に参加した。この会は札幌市内の建築家ら有志でつくる会。北海道が解体を予定する北海道百年記念塔の現状について、視察を行った報告会であった。
北海道百年記念塔は、野幌森林公園内に北海道開基100年を記念して着工。1970(昭和45)年に竣工した高さ100メートルの塔だ。
デザインに関しては設計公募を行い、全国から300点近い作品が集まった。その中から、当時無名だった28歳の今金町出身の若者・井口健さんの案が採用された。総工費は約5億円。その半分以上を北海道民の寄付によるものだった。
平成に入って塔の腐食が進み、大規模修繕を行うも完全に修復には至らず。老朽化によって金属片が落下したことなどにより存廃を検討。今後50年間の維持費として展望台としての原状復帰で28.6億円・現状維持で26.5億円・除却で4.1億円が試算され、2019年に解体の方針が決定された。
これに異を唱えたのが、今回の視察報告会だ。
2020年6月に道が開催した記念塔内の視察会に参加した建築家の専門家たちは「塔の躯体は健全だった」と説明。「解体は拙速。道の姿勢は解体ありきで、地元住民と十分な議論と説明を尽くすべきだ」とした。
記念塔は地元のランドマークであり、20を超える小中学校の校歌や校章に使われているほど、親しまれている。
会では、小樽運河が道路化する過程でも、住民運動の結果現在のかたちで残され、今の観光振興につながった話も引き合いにされた。
開基100年を記念する塔が、わずか50年で解体されるとは、ちょっと悲しい。報告会には設計者である井口さんも同席していた。先住民族に配慮しながら、なにかいい形で残るとうれしい。
