天売島へ行く

実は、人生初となる天売島へ行ってきた。
天売・焼尻とひとくくりにされる2つの島。
道北のオロロンラインのちょうど中間地点、羽幌町からフェリーが出ている小さな島だ。

羽幌のフェリーターミナル13時。
クルマはここの港に置いておく。
持参する荷物をまとめて、出航を待つ。
フェリーに乗るというだけでテンションがあがる。
14時、出航。

羽幌を出発したフェリーは約1時間で、手前の焼尻島に到着する。
ここで20分ほど、人や荷物の積み下ろしなどを経て、目的地である天売島へ出発。約25分で天売島に到着する。
料金は季節変動があるが、2等席で片道2,520円。

天候は晴れだったものの、湿度が高くもやがかかった状態。ちょっとイマイチだったが、引き返していくフェリーと対岸には焼尻島がはっきりと見えて感動。
ちなみに、天売島の電気は、対岸に見える4キロほど離れた焼尻島から海底ケーブルをつかって供給されているそうだ。

コロナの影響もあり、天売島の観光関連はほとんどがやっていなかった。
そのため、レンタル自転車もなく、やむなく徒歩で行けるところのみ見て回る。
地図で見ると近いかなと思った「観音岬展望台」。
実際には、けっこうな上り坂でかなりの時間を要して、汗だくになって到着。
しかし、写真のとおり、日本海側から海霧が発生していた。
まあ、これはこれで幻想的だけれども。
期待していた利尻岳はまったく見えなかった。

しかし、それにしても圧倒的な風景に魅了された。
人口約300人ほどの島の観光オフシーズンにはだれにも会わない。
カラスとツバメがぴゅんぴゅん飛んでいるだけ。
180度、海が広がるだけの景観。
島の北側は一面、断崖絶壁。

一方、まちの様子を知りたく、ぶらぶらと歩くことにした。
港から北西にのび、やがて南東にまがる約2キロくらいの両側に、住宅などがポツンポツンと建っている。
かつては、昭和のはじめごろには、3千人くらいがいたという島。
今は300人ほど。
そのほとんどが親戚などで、「島人は家族みたいなもの」と川口商店の母さんは話す。そう、この島ではコンビニはない。あのセイコーマートですらないのだ。買い物は、2軒の昔ながらの商店のみ。ドラッグストアもなければ、ホームセンターもない。パチンコ店もなければ宅急便などのトラックも走っていない。
しかし、意外にもクルマの数は多いように感じた。軽トラは漁師さんの仕事道具だとしても、軽自動車をメインに旭川ナンバーのクルマが行き交う。
それでも、島一周の道路は約12キロ。
歩いても4時間程度。わたしらランナーならば、アップダウンを差し引いても1時間半で回ってこれるかも。
そんな島では信号機が1つだけある。
本来は必要ないくらいの交通量。
しかし、その信号機は小中学校の前に取り付けられている。
子どもたちの教育用に設置されていると聞く。
「都会に出て使い方がわからないと困るから」。
なんともいい話だ。
そしてもうひとつ。わたしが受けた一番の衝撃。
それは、トイレ。
フェリーターミナルにある公衆トイレをのぞいて、
旅館なども含めて、トイレはすべてくみ取り式。
天売島。
北海道の中でも、そうとう異次元の世界だった。