だれかのおもいをつたえるしごと

ふだん、まちなかの拠点にしている中央区の道銀ビル。その1階ロビーにちょっとしたギャラリースペースがあり、毎週、なにがしらの展示がなされる。主に写真や絵画の展示が多く、すてきな場所だ。

今週も、新しい展示内容になって「あっ、変わったな」という感じで、ちらっと見ていた。

その展示会のことが新聞の夕刊記事になっていた。

「難病に負けず、多彩な抽象画〜札幌で渡辺さん個展」。
北海道新聞の札幌・道央圏版だ。

記事によれば、「難病と闘いながら絵を描き続けている札幌市南区の画家・渡辺賢治さん(30)の個展『Kenjiぼくのうた』がらいらっくぎゃらりいで開催されている」とある。

母の美津子さん(57)は「個展の中止も考えたが、コロナ禍でも絵を描きつづける賢治の姿に励まされた」と開催を決めたそうだ。

一見、なにげないように見える小さなスペースのギャラリー展示。

しかし、その背景には個々のドラマがあるのだ。

ぼくらの仕事は、こういった、「そこに至るまでの物語り」に光をあてて世に知らしめることではないだろうか。

その人の想いや生き方を、きいて、表現して、つたえる。

そうしてはじめて、価値あるものへとつなげることができるのではないか。

もし、この新聞記事を見なかったら、わたしはあの個展をチラ見しただけに終わったかもしれない。しかし、記事を読み共感したことで作品をじっくりと鑑賞することにつながった。

だれかのおもいをつたえるしごと。

そんなことをこの新聞記事から再認識した。