東京五輪〜札幌開催のマラソンに感動

東京五輪が終わった。コロナ禍とともに、ざわざわした3週間であった。この日々は北海道にとって100年ぶりという暑さももたらした。雨がほとんど降らず、降雨量は平年の数パーセントという暑くて乾いた期間だった。その暑さの中、札幌の大通公園を発着点に女子マラソン・男子マラソンが開催された。
わたしはテレビを食い入るように観戦していた。
前半からひとりふたりと脱落者が映し出され、30℃近くの高温による過酷なコンディションを露呈していた。
30キロ過ぎ。もっとも苦しくなるあたりで、走る哲学者・世界記録保持者のケニア・キプチョゲ選手がペースを上げ、そのまま独走。優勝した。
日本選手は大迫選手のみが、先頭集団にくらいついていた。第2集団から、少し離されたが、35キロ過ぎで第2集団から落ちてきた2人を抜いて、結果6位でゴールした。
以下は大迫選手の事前インタビューから、氏の発言だ。
・8月8日のマラソンを現役選手としてのラストレースにします
・ずっとケニア、アメリカでトレーニングをしてきました。順調で充実したトレーニングができたと思います
・結果と同じくらい、プロセスに価値がある。競技面だけでなく、人生の枠を広げることが大切だと思っていますし、大きな大会に直面して、少しずつ成長していることに大きな喜びを感じています
・レース前は常に不安です。つらさに直面しないといけないですし、心の準備でいっぱいいっぱい。準備に関しては充実したものができました
・いろんな感情はありますが、客観視している部分もあります。いつも通りを心掛けて(大会までの)4日間を過ごします
・順位、結果はもちろん大切だけど、レースが終わった時に自分が『頑張り切れた』と思える、そんなレースにしたいです
まったくその通りのレースをわれわれに見せてくれた。
「やりきった」「出し切った」と言っていた。
求道者のようにするどい眼光で前だけを見つめて走っていた氏は、ゴール直前、満面の笑顔となり、周囲に手を振った。
ゴール後、しばらく走ってきた道を見つめていたのが印象的だった。
感動とエネルギーをいただいた。
スポーツ・マラソンはいい。
わたしもまた、自分のゴールを自ら設定して、やりきった・出し切った感ある仕事をしたい。
翌日の新聞紙面を仕事場のカベに貼った。この感動を忘れないようにするために。

後日、大通公園3丁目側を歩いていたら、五輪マラソンの記念プレートが歩道に埋め込まれているのを発見した。道路にはうっすらとゴールラインが残っていた。

さりげなく、感動の記憶が残されていた。