エゾシカが増えているのか、車の運転にはご注意を

エゾシカが近年また増えているのだろうか。お盆が終わり、秋の気配が感じられる昨今、道東や道北でエゾシカを見る機会が増えた。

厚岸の住宅街では、なんと空き家の近くにシカの群れ4頭がゆうゆうと佇んでいた。近くには学校や商店もある。普通の住宅街だ。なかには、座って休んでいるシカもいるではないか。車で近づいても逃げる気配はない。

厚岸の人気の道の駅、コンキリエの2階からふと外を見下ろせば、そこにもエゾシカの群れがいた。白い柵の左側は駐車場だ。柵があって飼っているように見えるが、違う。完全に野生のシカだ。

バイクのツーリングライダーに人気の「北太平洋シーサイドライン」。道道142号の初田牛〜別当賀付近の道路上に突如、現れたエゾシカ。この個体は路上にいて、こちらの車が近づくと逃げてくれたが、目の前を横切られることがあることを思うと怖い。

日本本土の最東端、納沙布岬の駐車場にも3頭のエゾシカがいた。普通に芝生の草をついばんでいた。この群れはバイクや車がすぐそばの道道を通ると、敏感に場所を変え逃げていた。
エゾシカは、北海道のみに生息するニホンジカの一種。 本州以南のニホンジカよりも体が大きく、オスの場合、最大で体長190cm・体重150kgに達する国内最大の野生の草食動物だとされる。
明治初期の大雪と乱獲により一時は絶滅寸前にまで生息数が減少したが、 禁猟などの保護政策を行うことにより、個体群を維持するまでに生息数が回復。 エゾシカの持つ高い繁殖力と、生息環境の変化により、 現在は、急速に分布域を拡大しながら生息数を増やしているという。
その結果、農林業被害や交通事故の増加などの人間社会への影響や、 強度の採食や踏み付けによる生態系への影響などが問題となっている。

では、現在エゾシカはどれくらい生息しているのだろうか。正確な統計を見つけることはできなかったが、複数のウェブサイトを見る限り、52万頭〜70万頭という推定が出ていた。60万頭前後といってもどのくらいなのか。同じ野生動物で近年やたらとニュースに出てくるヒグマはどのくらいなのか。こちらも同様に調べてみると、4,000頭〜17,000頭と推定されるらしい。圧倒的にエゾシカの方が多いことがわかる。
ちなみに、ウシはどうか。北海道にいる乳牛は約80万頭。肉牛は約51万頭。合計して131万頭ほど。エゾシカのほぼ2倍という規模だ。こういう数字を見てくると、「エゾシカはかなり多く生息している」と言えるだろう。
JR北海道では、列車とシカが衝突する事故が2020年度は2,414件も発生したと報道される。これは、単純計算で1日平均6.6回にもなる。1日に6〜7回もシカとぶつかり、その度に死骸の駆除や車体の点検などに当たるJR関係者の心労を思うと気の毒だ。
道内を走るドライバーやライダーは、特に道東・道北エリアではエゾシカに注意して走ろう。