『ドラッカーに学ぶ人間学』佐藤等著、致知出版社に学ぶ

「ビジネス塾」をはじめとして、各種勉強会などでおせわなっている師匠のおひとり・佐藤等さんの最新作が発売された。致知出版社から、その名もずばり『ドラッカーに学ぶ人間学』。仕事と人生に生かすドラッカーの教え。個人も組織も成長する大法則が学べる。

著者・佐藤等(さとう・ひとし)さん ドラッカー学会共同代表理事。昭和36年北海道生まれ。小樽商科大学商学部商業学科卒業。平成2年公認会計士試験合格。佐藤等公認会計士事務所開設。14年同大学大学院商学研究科修士課程修了。「実践するマネジメント読書会」を創設。著書に『実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)や『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』(日経BP)などがある。

本は人間学を学ぶ月刊誌「致知』の連載をベースに、4つの章に分かれている。
第1章は「変化に備え、未来を切り拓く」。
第2章は「組織の中で最高の仕事をするための考え方」。
第3章は「組織の文化をつくるリーダーの資質と役割」
第4章は「成果をあげ続けるために必要な志と自己開発」。
第5章は「日本の強みを生かしてポストコロナの社会を再生する」。
全部で37のパートからなる。

マネジメントの大家であるピーター・ドラッカー(1909年-2005年)のことばをベースに、安岡正篤先生・森信三先生・平澤興先生・坂村真民先生など、現代の覚者たちのことばを折り交えた内容。これまでの常識が通用しない時代を生きるわたしたちへの道標を示してくれている。

・未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。(第1章の2)

・人の成長のために働かないかぎり自ら成長することはない。(第2章の8)

・チームの目的は、メンバーの強みをフルに発揮させ、弱みを意味のないものにすることである。(第2章の10)

・人と話すときは相手が経験的に知っている言葉、つまり大工と話すときは大工の言葉を使え。(第2章の14)

・リーダーをつくりあげるものは仕事である。リーダーとは仕事を通じて自らつくりあげるものである。(第3章の18)

・経営管理者が学ぶことのできない資質、習得することができず、もともともっていなければならない資質がある。才能ではなく真摯さである。(第3章の19)

・基本と原則は、状況に応じて適用すべきものであっても、断じて破棄してはならないものである。(第3章の23)

・今日でも私は、いつもこの問い「何によって憶えられたいか」を自らに問いかけている。これは、自己刷新を促す問いである。(第4章の25)

・人生から何を得るかを問い、得られるものは自らが投じたものによることを知ったとき、人は人として成熟する。(第4章の27)

・社会の問題の解決を事実上の機会に転換することによって自らの利益とすることこそ企業の機能であり、企業以外の組織の機能である。(第5章の36)

巻末に記された「参考文献」47からなる。ドラッカーの叡智を主に覚者からの言霊を集めて解説された一冊。わたしは同誌の連載を読んでいながらも、ふたたび本に線を引き、付せんを貼った部分が多数となった。

コロナ禍において、大きな変化を目の前にした昨今。個人も組織も原理原則に立ち返って、それぞれの道を見出すために必読の書に思う。

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