道内観光 展望どう描く

北海道新聞11月2日付け「水曜討論」

先日の新聞に観光関連のインタビュー記事が出ていた。数字のアップデートなどを含めて、おさらい。要点を抜き出しておきたい。

京王プラザホテル札幌社長・池田純久(いけだ・よしひさ)さんと、北大観光学高等研究センター教授・木村宏(きむら・ひろし)さん。

北海道の観光とは。
自然や食への注目度が高く、民間シンクタンクの都道府県魅力度ランキングでは、2022年まで北海道が14年連続の1位。国内の観光客数は2019年度まで8年続けて5,000万人を超えた。訪日客にも人気で、2018年度は過去最高の約312万人だった。コロナ前、道内での観光消費額は年約1兆5,000億円に上り、道内経済をけん引した。政府は観光の再活性化を目指し、2030年には全国で6,000万人の訪日客(インバウンド)を受け入れる目標を掲げている。

・旅行者に選ばれるためには、わたしたちが地域の価値を深く理解することが欠かせない。道内の知る人ぞ知るような観光地を訪れて魅力を探る取り組みに力を入れてきた。設備投資を行い、現状に安住せず工夫を重ね、リピーターに「前よりさらに良くなった」と感じてもらえればファンづくりにもつながる。

・今後は不測の事態に対応できるしなやかさが高い事業体質を目指すべきだ。危機感を持ち、アイデアを出してPDCAサイクルに力を入れる。

・これからインバウンドの増加は確実であろう。円安の効果にも注目している。高付加価値化できるかどうかが問われている。観光業の復活には業界で働く人を大切にすることも欠かせない。お客を呼び込むことと並行して、地域の魅力や観光業のやりがいについて、将来の担い手に伝えていかねばならない。

・今は個人が、旅行会社が取り上げてこなかった旅先の魅力をインスタなどで見つけて訪れるなど、昔ながらの情報の受け手とは異なる動きをするのが当たり前だ。コロナにより密を避けられる一人旅も注目されている。2030年度末には、北海道新幹線の札幌延伸も控えている。旅行者はこれまでと違う動きをするだろう。

・少子高齢化や人口減少が進む10年、20年後に自分たちの観光地を残すため、今後も生まれる新しい旅のスタイルを敏感に捉える。旅行者をどう引きつけられるか。今後、意欲的に深掘りする地域と、そうではない地域との差は如実に出てくるだろう。