留寿都名物「みそまんじゅう」を作る94歳の店主

すばらしい人を紹介する記事が道新の朝刊「ひと」欄に載っていた。タイトルは「留寿都名物『みそまんじゅう』を作る94歳店主」。坂田愛子(さかた・あいこ)さん。以下、引用したい。
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留寿都村で「元祖みそまんじゅう」を販売する菓子店「梅屋」の3代目。94歳の今もなお、店の奥の工場で毎日、製品を手作りしている。北海道菓子工業組合によると、90代の現役店主は珍しい。「人に喜んでほしい一心。人のつながりで店も自分も生かされている」と控えめに話す。
旧歌棄村(現・寿都町)生まれ、倶知安町育ち。結婚を機に1951(昭和26)年、夫の勤務先の留寿都に移った。森林組合に勤めながら、梅屋の常連客に。1981(昭和56)年、高齢の2代目夫婦に誘われ、みそまんじゅう作りを手伝うと、腕を見込まれた。店を譲りたいと頼まれ、54歳で後を継ぎ、夫と切り盛りした。
一つ一つ手で丸めてふかす小ぶりのまんじゅうは、黒糖風味で1個60円。店を継いでほどなく、若い世代も食べやすいようにみそを使うのはやめたが、名前だけが残る。素朴な味わいが人気を呼び、繁忙期には1日5,000個が売れるようになった。
夫は1999(平成11)年に他界。現在は次女夫婦と早朝から仕込みをする。経理などもこなし、日付が変わる前に寝た日はほとんどない。「村になくてはならない味だと言われる。私の安否確認に来るお客さんも多くて」。背筋をピンと伸ばし、店に立ち続けて40年。創業から120年近い月日が流れた。「『まんじゅうに命をかけたおばあちゃんがいた』と、何年先も覚えていてほしい」。
長寿の秘訣は「毎日の自炊と人の世話を焼くこと」。日本舞踊、札幌の民間学校での生涯学習にも励む。「やりたいことが多すぎて時間が足りない」と笑う。1人暮らし。
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非凡な人生である。人口2千人あまりの小さな村で、120年近く愛される和菓子。そんな奇跡のような品物の背景には、このような人物語があったとは。今度、留寿都村を通る際には、絶対に立ち寄ろう。そして、この味をとくと堪能しよう。おばあちゃんにお礼を言いながら。
月曜の朝に、元気が出るいい記事に出会った。記事には「加藤遥花」さんの署名が記されていた。ありがとう。