白滝の黒曜石が道内2例目となる国宝に指定される

遠軽町の「白滝遺跡群」から出土した後期旧石器時代の黒曜石などの石器類が国宝に指定された。国宝としては最古となり、旧石器時代の出土品としては全国初になる。
ちなみに、道内で国宝指定は2例目となる。
日本の歴史は旧石器時代から始まったとの認識が変わる大きな一歩になり、それが北海道から見つかった意味は大きい、と地元では喜びを新たにする。
対象となるのは、「細石刃(さいせきじん)」と呼ばれる石器や先端がとがった「尖頭状石器」など約3万年前〜1.5万年前の1,965点。いずれも、1995年〜2008年にかけての発掘調査で白滝地区の7つの遺跡から出土したものである。
「遠軽町埋蔵文化財センター」では、これらの国宝に加え多数の関係資料を展示する。この白滝遺跡群がある白滝地区は過疎化が進み、人口約500人。交流人口が増えてほしいと、地元の食品製造販売会社では黒曜石をイメージした「黒いコロッケ」を新発売した。
その黒曜石とは、火山が作り出す火山岩の一種とされる。火山から吹き出されるマグマの一部が急速に冷え固まった岩。黒曜石は別名「天然ガラス」とも呼ばれ、黒く光りへりが刃物のように鋭くなっている。そのため、矢じりやナイフとして長く使用されてきた。
旧石器時代とは、人々はまだ粘土を素焼きした容器である土器を持たず、主に石器や動物の骨や角を用いて作られた骨角器(こっかくき)を使い、狩猟や採集活動を行っていた。定住はせず、テントのような軽易な住居によって、食料となる獲物や木の実などを求めてたえず移動を行いながら生活をしていた時代だと想像されている。当時は氷河期という寒冷な気候であり、火山活動も活発で、頻繁に火山灰が降り注ぐ非常に厳しい環境下での暮らしであった。年間平均気温は今より7~8℃低く、台地上には針葉樹林を中心とした森林帯が広がり、現在でいえば標高約1,500mの風景が広がっていたと考えられる。