「コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則」が良書すぎる

「コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則」が良書すぎる

マーケティング界の世界的権威、フィリップ・コトラーの最新刊「コトラーのマーケティング4.0」という本がすばらしくいい。副題にもあるとおり、スマホ時代に企業はどう顧客と向きあっていけばいいのか。これまでのマーケティング4Pに変わるあらたな「5A」というフレームも提唱している。

コトラー教授らが提唱するマーケティングの4.0とは。4.0を知るまえに、これまでの歴史をふりかえってみよう。

マーケティング1.0とは、製品中心の時代。製品を販売することが目的で、その製品開発が重要であった。

マーケティング2.0とは、消費者志向の時代。消費者を満足させ、つなぎとめることが主な目的。差別化が重要で、企業と製品のポジショニングがうたわれた時代だ。

マーケティング3.0とは、2000年に入ったころの概念。価値主導の時代で、世界をよりよい場所にすることが目的になり、企業の使命やビジョンが重要になった。これらの変化は、インターネットが一般化したことによる。

このネットを舞台としたIT技術の変化は早く、昨今はスマホによる接続がふつうになってきた。つまり、接続性と透明性のおかげで、従来の企業と消費者との力のバランスが逆転した世の中になったという。

コトラーは言う。「いまではブランドや企業にかんするとりとめのないネット上での会話のほうが、的をしぼった広告キャンペーンより信用できるようになっている」。どのブランド(企業)を選ぶかは、広告を信じることではなく、最近では、Fファクターと呼ばれるものが信頼されるという。

Fファクターとは、フレンド・ファミリー・フェイスブックのファン・ツイッターのフォローワーのこと。

かつては、企業がさまざまな広告媒体をつうじて自社のメッセージを発信するのが一般的だった。しかし現在では、ブランドは顧客を単なるターゲットとみなすべきではない。ブランドと顧客の関係はタテからヨコへ。顧客はブランドのなかま、友達とみなされるべきだと指摘する。

顧客はもはや受動的なターゲットではなくなり、能動的なコミュニケーション・メディアになりつつある。

マーケティング4.0とは、企業と顧客のオンライン(ネット)交流とオフライン交流を一体化させるマーケティングアプローチをいう。

これまで、マーケティングの基本フレームは4Pという概念だった。つまり、製品・価格・流通・宣伝。これからは、次の5Aという概念の理解が必要だ。

5Aとは、認知→訴求→調査→行動→推奨。

知っている→大好きだ→よいと確信している→購入するつもりだ→推奨する。

このように顧客の心理状態が変わる段階において、マーケティング4.0では、伝統的なやり方とあたらしいやり方とを混ぜあわせて、共存させることが重要だという。

あたらしいやり方で、重要になってくるもの。それは、コンテンツだ。WEB上でのコンテンツはあたらしい広告になっている。従来の広告は製品・サービスの販売を促進するために伝えたい情報を含んでいるのに対し、コンテンツは顧客が自分の個人的・職業的な目的を達成するために使いたいと思う情報を含んでいるのである。

コンテンツの制作には、上手なライターと編集者がいる出版事業者のような思考・行動が求められるという。優秀なコンテンツ制作者はジャーナリズムとエディターに必要なスキルが必要だ。自分が担当しているブランドのいいところだけをネタにしてはいけない。顧客の欲求や不安を解消するべく、ストーリーを語らなければならない。

コンテンツマーケティングには、大きくわけて3つのあたらしい分野がある。それは、オウンドメディア(自社のチャンネル)、ペイドメディア(有料チャネル)、アーンドメディア(獲得チャネル)。自社のWEBサイトはもちろん、WEBでのリスティング広告、バナー広告、SNSサイトでの口コミなど。

マーケティング4.0の時代にあって、ブランドがもっとも大切にしなければならいないもの。それは「ワオ!」という予期せぬ驚き、感動、喜び、だという。現代には、すばらしい製品やすばらしいサービスが日常化してきている。だからこそ、超一流のワオ要因こそが、ブランドを競争相手と差別化する要素となる。

 

本の全体をつうじて、ちょっとカタカナが多くて読みにくい部分もあるが、昨今のマーケティング環境全般を理解できる良書だと思う。いま、世の中がどう変化していて、企業やブランドは変化する顧客にどのように対峙すればいいのかをおしえてくれる一冊だ。

 

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